子ども達にとって、和楽器は残念ながら遠い存在です。
ましてや琵琶は子ども達はもちろんのこと、
大人でも全くと言って良いほど馴染みがありません。
今回、「こども園で弾いてみませんか。」とお話を頂戴致しまして、
2月27日に岐阜県各務原市の「川島東こども園」さまにて琵琶の演奏をさせて頂きました。
実は子ども達の前で演奏するのは念願だったのです!
琵琶というと、琵琶法師の方々のイメージが強くて「物哀しい」「暗い」というイメージがつきもの。
ですが、先入観の無い子ども達にとって
琵琶はどのように受け止められるのか、
どんな反応を見せてくれるのか、
非常に興味がありました。
その日は朝から快晴。二月にしては暖かな陽気。
こども園での演奏は私にとって初めてですので、期待と同時に不安な気持ちも抱えながら車を走らせます。
園に到着すると、まず「おはようございます!」と先生方の溌溂とした声。
そして、駆け寄って来た子供たちの好奇心に満ちた瞳。
一気に緊張感は吹き飛び、期待で胸が高鳴りました。
そしてこども園に入ると、入り口ホールに大きなお雛様が!
そういえばもうすぐひな祭り。
見事なお出迎えに
心がパッと華やかになりました🌸
そして、初めて見る「御殿飾り」。
あまりの豪華さに見入ってしまいました。
京都の御所をモチーフとした「御殿」のなかに、天皇・皇后を模した内裏雛を飾るという「御殿雛」。
江戸時代後期からつくられ、特に明治、大正時代頃に京都を中心とした関西地方で多く取り入られたということです。
華やかですよね~。
毎日こんな立派なお雛様が見られて、子供たちは本当に幸せだと思いました。
大きなホールが演奏会場です。
時間になると、ぞくぞくと子供たちがホールに入ってきました。
どの子も静かに座ってキラキラした目でこちらを見てくれます。
子ども達にとって初めての琵琶。
少しでも身近な和楽器と感じてもらいたい。
どんな説明をしようか…
いろいろ考えましたが、常々私が思っていることを話してみました。
「琵琶ってお顔に見えませんかー?」
すると、
「あっ、顔!おめめにおくち!」
やはり期待した反応(笑)
そして、
「琵琶には穴が空いています。
この穴から何が出ると思いますかー?」
しばらく考えている子ども達。
すると年長さんから
「音!」という答えが!
そうなのです。
実は琵琶には三ヵ所目、穴が空いている部分があるのです。
その穴は「響孔」といって、音を響かせるためにあるもの。
まさか正解が出るとは私もビックリ。
さすが年長さん!
素晴らしいです。
演奏が始まると子供たちは、
琵琶の音色に身体を動かしたり、手拍子を取ったり。
「早口言葉」も上手に言えましたし、
「じゅげむじゅげむ」の歌では、いっしょに長い名前を言ってくれましたね。
最後は大きな声で、「桃太郎」「浦島太郎」「うさぎとかめ」「一寸法師」「はなさかじいさん」の歌を歌いました♪
琵琶の伴奏でみんなの歌声が、ホールに大きく響きましたね。
帰る時にはどの子も指で琵琶の弦をはじいていってくれました。
そして琵琶の穴も
「どこー?あっ、穴だ!」とちゃんと覗き込んでくれて。
その姿が可愛いこと可愛いこと(笑)
絶滅危惧種の和楽器、琵琶。
「子ども達が大きくなるころには、果たして琵琶は存在しているのだろうか…」
と、なんとなく切ない気持ちになりましたが、
琵琶の音色に耳を傾けてくれて
そして一緒に歌ってくれて
私も非常に嬉しく、そして楽しかったです。
それにしても、先入観の無い子ども達。
「琵琶=物哀しい」というイメージを払拭させてくれたひと時でした。
帰る時には
「ありがとうございましたーー。」と、
園庭で遊んでいたのにわざわざ駆け寄って、挨拶してくれた子も!
こちらこそ、ありがとう!
元気な気持ちをたくさん貰いました!!
そして、川島東こども園さま。
素晴らしい機会をどうもありがとうございました。
子ども達に琵琶を知って貰うだけではなく、私も新たな気づきが発見できて、非常に勉強になりました。
園の裏には美しい川が流れておりました。
夏には蛍が飛ぶとのこと。
川沿いには背丈の高い木々。
そしてなんとその中に一本、桑の大木がありました。
生まれて初めて見る桑の大木。
子ども達のようにのびのびと枝を伸ばす姿。
緑の葉が生い茂ったら、さらに見事な様子になるのでしょう。
是非また会いに行きたいです。