源氏物語は、平安時代に紫式部によって書かれた日本最古の長編小説です。
主人公である光源氏と、彼が愛した姫君たちを軸にしながら、
当時の貴族の日常生活の様子や思想、文化、行事、信仰など…大変興味深く書かれております。
特に衣装の色合わせの内容については、さすが女性ならではの細やかな表現!
華やかな宮中生活が目に浮かぶようです。
千年前の様子とは思えないほど、生き生きとした登場人物の様子。
そして、どの姫君も大変魅力的!
見目麗しいだけでなく、心根も優しく、いじらしく、
光源氏がどの姫君にも恋に落ちてしまう気持ちが分からなくもないような(笑)
その源氏物語は全巻五十四帖ありますが、その三十五帖の「若菜下(わかなのげ)」に琵琶が登場する有名なシーンがあります。
新春に光源氏が主催した、弦楽四重奏の『女楽(おんながく)』。
これは、紫の上、女三の宮、明石の君、明石の女御(明石の君の娘)、四人の姫君がそれぞれ和楽器を奏でるという、大変華やかな催しでした。
そこで、明石の君が琵琶を弾いたのです。
原文にはこう書かれています。
『琵琶はすぐれて上手めき、神さびたる手づかひ、澄み果てておもしろく聞こゆ』
つまり、「琵琶は優れた名手であり、神がかった撥さばきであり、音色は澄み切って美しく聞こえる」と。
『神がかった撥さばき』
どんな弾き方をしたのでしょうか?
非常に興味があります。
『澄み切って美しい音色』
決して「もの哀しい」とは表現されてはおりません。
平安時代に琵琶は華やかな存在だったことが分かります。
ですが、今の琵琶のイメージは『寂しい、哀しい』ではないでしょうか。
やはり「平家物語」を弾き語った、琵琶法師の影響が大きいことは否定できませんね。
もちろん、登場する琵琶も
「源氏物語→楽琵琶」
「平家物語→平家琵琶」
と種類が異なっており、音色も弾き方も異なるという点も、イメージに大きく影響を致しますが。
また「源氏物語絵巻」の絵の中においても、琵琶が登場しているのはご存知ですか?
源氏物語絵巻 第四十九帖 宿木(やどりぎ)三にて、
匂宮(におうみや ※光源氏の孫)が、妻である中宮の前で琵琶を弾いている様子が描かれております。
たおやかな琵琶の音色が聞こえてきそうな…そんな絵です。
このように日本最古の長編小説「源氏物語」に、琵琶は登場しているのです。
2024年のNHK大河ドラマは「光る君へ」ですね。紫式部の波乱万丈な人生を描いた物語とのこと。
さて、琵琶はどのように登場するのでしょうか。
興味深く見守りたいと思います(笑)